初めてのKickstarter出資からその結末まで
今から2年前、初めてKickstarterにアカウントをつくり、初めての出資をした。
日本円で2万円程度の値段で組立済みの3Dプリンタが手に入る!とワクワクしながら出資したのがコレ、
順調に行けば2016年3月には手に入り、箱から取り出し直ぐに色んなものを出力しまくって遊べるぞ、TIKO最高かよっ!とクラウドファンディング素人丸出しで興奮していた。
出資後まもなく目標金額に達成し、この3Dプリンターのプロジェクトがスタートすることが決まると同時にクレジットカードに2万円あまりの引き落としが入った。
それから半年後、スーパーアーリーバードの人たちには既に製品が届いても良い時期になったがkickstarterのプロジェクトサイトには何の更新も無いことに一抹の不安がよぎり始めた。しかしGigazineの注意勧告を思い出し、心を落ち着かせて気長に待とうと自分に言い聞かせた。
「Kickstarter」へ出資してゲットする方法&出資しまくった経験からわかった注意点まとめ - GIGAZINE
スーパーアーリーバードの配送予定が過ぎて暫くして、この若い起業家達も10万ドルが目標金額のところを約300万ドルも集めてしまったので、初期の配送予定から大きく遅れはじめているのに危機感を感じたのか、プロジェクトの進捗報告をkickstarterを通じて頻繁に送るようになっていた。
曰く「モーターのスピードと耐久性がアカン」とか、「製造用の金型作るの大変っす」(いまさらかよっ)とか、「耐久性テスト、稼動テスト、ちゃんとやってるよ」とか、「ヤベッ、ケースがきっちりはまらないよ~」とか、「工場でちゃんと生産するのって、当たり前に出来るもんじゃないんすね。勉強になります~」(オイッ!)とか・・・。
2016年2月になり、本来ならあと1ヶ月で3Dプリンターが手に入る段なのだが、当然の様に自分より半年前に手に入れているはずのスーパーアーリーバードプランの人たちにさえ配送はされていない状況だった。
しかしとりあえず初期ロットの分のパーツは揃えたよ~、ということで配送料の55ドル振込み願いがTIKOプロジェクト側から届く、TIKOのサイト上にクレカ情報を入力しつつも完全には安心できなかった。
そして、配送料を振り込んでからも当初予定の2016年3月は当然の様に過ぎていき、TIKOのことは意識的にあまり考えないようにしていた2016年11月20日になんと「カナダに向けて最初の1000個+αの出荷をしたよ!」の更新が入り、続けて2016年12月21日には「アメリカに向けての最初の出荷をしたよ!」の更新が入った!
この報告は0以下になっていたワクワク度を再び奮い立たせ、fasebookのTIKOコミュニティーにUPされる[出力してみた]報告の写真やコメントをチェックしながら到着を楽しみに待てる状態にまでメンタルヘルスを向上させた。
しかし、2017年2月23日の更新は世界中のTIKO発送を待つ出資者を凍りつかせた。
曰く「なんか思ってたよりも製造コストかかるし、お金足らないわ。良い投資家と話がつくまで一旦事業を停止するね。ちなみに払い戻しとか一切しないからよろしく。」とのこと。
もちろんfasebookのコミュニティーは大荒れ。ただkickstarter上の出資はあきらめるのは仕方ないとする意見がほとんどで、kickstarter外でとられた配送料は完全に詐欺だ!という意見がざっとみたところの総意。
以上がはじめての出資案件の一応の結末。(TIKOプロジェクト側は「あきらめなければ負けじゃない」的なのりでまだ頑張っているよとアピールしてるけど、残った資金を食いつぶすための放言でしょ。会計報告一切無し。)
今回の経験は若い企業に出資するエンジェル投資家の気持ちを少し経験できたこと(起業家に直接口出しはできませんが)と、ハードウェアスタートアップを起業するにしても出資するにしても、プロトタイプがどんなにすばらしくても、そのパーツのサプライ、組立、配送、会計に目処が立ってないと当然の様に不幸な結果が待っているよという教訓が得られたと無理やりポジティブに捉えておこうっ。